折れた魔剣

折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519))

折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519))

ネタバレありです。


以前から気になってて、先日読んだ『ファンタジーの歴史』という本でも紹介されてて、ついに興味をおさえきれず、買って読んでしまいました。ファンタジーの小説を読むのって本当に久しぶりです。この本の主役は英雄スカフロクではなく、やはり魔剣ティルフィング(本文中ではテュルフィング)なのでしょうか。折れていた魔剣が修復されるまでの過程がこの本の4分の3近くをしめていて、修復されてからはあっさり話が進んですぐにラスト、という構成が読者のことをよく考えているという気がします。読者の物語への興味は、魔剣が修復されたあたりでちょうど薄くなってくると思いますからね。あとは魔剣が確かに恐ろしいものだったと描写すればいいわけで。で、持つ者の意志とは関係なく人を襲う魔剣っていうのがマイクル・ムアコックの「エルリック・サーガ」のエルリックが使うストームブリンガーととてもよく似た設定なんですね。もちろん、ムアコックがこの『折れた魔剣』の影響を受けたということだと思いますが。繰り返しになりますが、この本、タイトルがタイトルなだけに、魔剣が修復されるともうお話は終わりという感じです。ですが、それでもかなり面白い。「この剣は何だろう」という興味でいっきに読めるようになっています。登場人物の描写等ももちろん素晴らしく、確かに名作だと感じました。