隠し剣 鬼の爪

お気に入り度★★★★☆

山田洋次監督の新作をみてきました。

地味ながら、演技・殺陣などクォリティが高く、最後まで楽しんでみることができました。全編を通じてアクションのシーンはちょっとしかないんですが、その、ちょっとしかないアクションが印象に残るんですよね。この「地味な中に光るものがある!」という点、昔の日本映画を思わせるものがあります。

ストーリーについて詳しいことはいいませんが、後半は「必殺仕事人」でしたね(笑)。「これ、必殺だよ!」と叫びそうになりました(笑)。

ラストシーンについて、「脳天気すぎる」という声があるようですが……。必ずしも「脳天気」ではないとはいえ、みているときは確かに「何だかベタな展開だなー」と思ってました。「ご命令なら……」というのもいかにも映画というか、ちょっと狙ってる感じで。しかしまあハッピーエンドでよかったのではないかなと。この映画は基本的にエンターテインメントなので、最後はああいう風に希望が漂う感じにしたと思うんですね。後味がいいように。

さて、この映画、山田洋次監督の前作「たそがれ清兵衛」とお話が非常によく似ているらしいです。お話のだいたいの展開と、人間関係の設定などが非常によく似ているらしいです。だから「たそがれ〜」をみていた人は、ストーリーよりも細部の違いに目がいったらしいです。もっとも「たそがれ〜」をみていても、この映画を楽しむことはできるらしいです。アクションは「たそがれ〜」よりも地味だけど、「隠し剣」という謎が入っている点にこの映画のアイデンティティがあるようです。まあ私は「たそがれ〜」をみていないので何ともいえないんですが……。

しかし「隠し剣」という謎を最後まで引っ張っていくところはさすがだと思いましたね。何しろ、かつての友と壮絶な死闘を繰り広げる際にも「隠し剣」が出てこないんだから。「隠し剣」って何なのだろうと気になってしょうがなかったです。

土浦セントラルという映画館でみたのですが、水曜日はメンズデーということで男性は1,000円でみることができました。それで、普段は買っていないパンフレットも買うことができました。この映画のパンフレットはちょっと分厚い感じで、読みごたえあります。テキストが充実している感じです。しかし「たそがれ清兵衛」とよく似たお話しなんだよ、という指摘は、パンフレットには全く出てこないですね……。まあ「マイナス」の情報ですからね。

というわけで、私は「面白かった」ですよ。