機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第4話

議長がアスラン・ザラの正体を暴露したことに対し、カガリが「議長、それは……」と何かいおうとしてましたが、いったい何といおうとしたのでしょう?

「それは……」? 「言わない約束でしょう!」「秘密じゃないですか!」それとも「違います!」といいたかったのか? あるいは「言わないで下さい」とか、「目下の状況と関係ないでしょう」とか、「いまそれをいってどうするんですか?」とか言いたかったのか?

こんなに候補をあげて考えているのも、もしかしたらアレックス=アスラン・ザラっていうのは偉い人たちの間では「暗黙の了解」というか、「公然の秘密」というか、もうわかっていることだけどあえていわない話として認識されていたのかな、と。

カガリが「それは……」といったときに、ミネルヴァの艦長が振り返って「やれやれ」というような顔になったのも気になるし……。要するに、艦長もアスランのことは知っていて、議長がクルーの聞いてる場所で秘密を暴露したことに対して「そんな騒ぎをあえて起こして、どういうつもり? 困ったわね」と感じていたのではないかと。

放映をみている限りだと、アスランが偽名を使っていた理由には、自分の正体を隠したいというのとは別に、「もうモビルスーツに乗って戦争に参加したりはしない」という決心があったのではないかと。つまり、ザフトのエースパイロットであるアスラン・ザラはもういないんだという意味で、偽名を使っていたのではないかと。政治的にいろいろまずいことになる、というのとは別に、個人的な意味があったのではないかと。

そして、アレックス=アスランという事実に加えて、「なぜいまアレックスを名乗っているのか」という理由もまた、「公然の秘密」として認識されていただろうと思います。

とすると、議長が前回アスランに言った「名が偽りなら、その存在も偽りということになる」という言葉が、非常に深い意味を持ってくるように思えます。「本当のきみは決して完全な平和主義ではないはずだ」と暗にいいたかったのではないかと。

しかし、ここで不思議なのは、議長はそんなことをいってアスランを揺さぶって、「どうするんだろう?」という疑問ですね。個人的にいじめてみたかっただけなら、ちょっとひどいように思うし。何か政治的な意図があるのか? アスランに語りかけることを通じて、カガリに何かいいたかったのか? 議長とカガリは武器開発を巡って激しい議論を展開させていましたからね……。あるいは、将来的にアスランを自分の「コマ」として使うための布石なのか?

どんな理由があるにせよ、他の一般クルーに聞こえる場所でアスランの正体を暴露するというのは、ちょっと乱暴だし、かなり意地悪ですね。思惑とは別に、議長の性格が出ているように思う……。そしてそんな議長が私は好きなんですが。

今回嬉しかったのは、ザフトの若いパイロットたち(シンと一緒に闘っている人たち)の区別がつくようになったことです。しかし、この第4話まで、内容は面白いんだけど、「主人公」シン・アスカの印象が異常なほど薄いのは何だかなあ。亡き妹の携帯に録音された声を聞いて涙ぐむシーンはちょっと目を引きましたけどねえ……。