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トヨタ流「改善力」の鍛え方―強者のノウハウはあらゆる場で必ず強い! (成美文庫)

トヨタ流「改善力」の鍛え方―強者のノウハウはあらゆる場で必ず強い! (成美文庫)

「あたり前のことをあたり前にやる」
これがトヨタ流である。

ひたすら実務な本。業務改善は素晴らしいですねー。改善をとおして「悟り」を開いた人がこういう本を書くんだろうな、と感じました。すごく日本的ですよね。仕事に対して全身全霊、どこまでもハマりこんでいく。「仕事」に対する精神論の深さでは日本人は世界一かもしれない。

内容はただひたすら仕事上の心得、改善を実現していくためにはどうすればよいか、が説かれています。具体例も豊富ですが、「これ、本当にあったことなのかな」と疑わないでもなかったですね。かなり都合よく具体例がひかれているような気がしたので……。どこまで信じればいいんだ? という。

しかし、全体としては特に問題のあるような内容ではなく……普通にいい本だと思いますよ。「トヨタ流」というのがちょっとひっかかるけど。別に流派にする必要はないと思うんですよね。「あたり前のことをあたり前にやる」とのことですが、まさにそのとおり、あたり前のこと、一般的なことがえんえんと述べられている。これはあたり前なんだけど、継続して実行していくのは難しいことなんだと。まさにそのとおり。けど、本当に「あたり前」のことなら、あえて「トヨタ流」などと名乗る必要はないよなー。私は一般論の本として読みました。

具体例の中に、官公庁のケース、というより市町村のケースが頻出する点がちょっとした特徴かな。市役所の業務改善についての成功例がいろいろひかれています。企業だけではなく行政の改善にも目を向けているということは、単なるビジネス論ではなく、「組織」というもの全般に通じる哲理を訴えたいんだろうなと。その点は非常に奥深く、素晴らしいものを感じますね。