パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)(1)

パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)

パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)


この本は、やや専門的なので、そもそもパーソナリティ障害が何なのかわからない、という人が読むのには向いてないと思います。
パーソナリティ障害についてだいたいのイメージをつかんでから読むのがいいかと思います。
パーソナリティ障害について、いろんな角度から語った文章が寄り集まっている感じで、必ずしも順番に読む必要はなく、自分の読みたいところから読んでいってもいいように感じました。

  • 1 パーソナリティ研究の歴史

これまでのパーソナリティ研究の歴史を振り返る内容。
研究者たちの長年の業績を要約してあるわけですが、ある意味、この本で一番難しい部分かもしれません。

現場のセラピストの声が書いてあるという感じ。
焦点は「逆転移の克服」にあるようです。
セラピスト自身の「第三者に自分の活動を認められたい」という願望からくる「間接的逆転移」にも注意を要するというのが興味深かったです。

  • 3 症候学からみたヒステリーと多重人格

ヒステリーと多重人格について、統合失調症と関連させて論じる内容です。
パーソナリティ障害と統合失調症とは密接な関係にあるようですね。
多重人格の症状は、第二人格のときの言動を記憶していないものが多い、というのが私自身にはピンとこない感じです。
そういう人が、自分の周囲にいないからでしょうか。
二重・多重人格は転換・解離から憑依へと向かう「中間の微妙な段階」に展開されるように思う、という指摘が印象に残りました。