パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)(2)

パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)

パーソナリティ障害 (こころの科学セレクション)

ここでは、失調型パーソナリティ障害と統合失調症との密接な関係について論じられています。
失調型パーソナリティ障害は、統合失調症を発症する前の状態なのか、あるいは、軽度に発症している状態なのか。
いずれにせよ、互いに独立した疾患ではなく、何らかの関係があるということです。

境界性パーソナリティ障害は英語で略してBPDというのだと知りました。
境界性パーソナリティ障害の治療の困難さを感じさせられる内容でした。
施設やスタッフが必要なのはもちろんですが、いろいろと時間のかかる、大がかりな治療のように感じました。
パーソナリティ障害の治療を本格的にやってる病院って、私の周囲にどれだけあるのかな、と気になりました。

境界性パーソナリティ障害認知行動療法の中でも、米国のマーシャ・リネハンが開発した弁証法的行動療法(DBT)が優れているということで、DBTの概要が語られます。
弁証法って、もしかして、ヘーゲルとかの?」と思ったら、本当にその「弁証法」を使った治療法でした。
読んでいて、かなりユニークなやり方だと感じました。
マインドフルネス・スキルの考え方が、禅の瞑想訓練を基礎にしているというのがすごく特徴的です。
「マインドフルネス・スキルのように宗教を基礎にした訓練は、患者にとって新奇的で不安な場合がある」とのことですが、どうしてこういうやり方を思いつけるのか、その発想がすごいです。
さまざまな発想を組み合わせ、考え込まれ、練り込まれた治療法ですね。